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日外会誌. 105(2): 206-212, 2004


特集

外科領域における栄養管理

4.NST(Nutrition Support Team)の役割

藤田保健衛生大学 医学部外科学・緩和ケア講座
尾鷲総合病院 NST & Clinical Path Complex (NCC) 

東口 髙志

I.内容要旨
栄養管理を症例個々や各疾患治療に応じて適切に実施することを栄養サポートという.この栄養サポートを職種の壁を越えて実践する集団がNST(Nutrition Support Team:栄養サポートチーム)である. NSTの役割には,①栄養管理が必要か否かの判定(栄養アセスメント施行),②適切な栄養管理が施行されているかのチェック,③最もふさわしい栄養管理法の提言(適切な栄養ルートの選択),④栄養管理に伴う合併症の予防・早期発見・治療,⑤栄養管理上の疑問点(コンサルテーションに答える),⑥新しい知識・技術の紹介・啓発などがあり,栄養療法をすべての診療・治療に共通する基本的な医療として確立し,組織横断的な機能を発揮する.このNSTは1970年,米国のシカゴで誕生し,欧米はもとより世界中の諸国に急激に伝播していった.しかし,わが国の医療状況では欧米型の専属チームを組織することは困難であったため,わが国におけるNSTの浸透は著しく遅延した.1998年,Potluck Party Method(PPM)という兼業兼務型のわが国独自の新しいNST運営システムが考案され,その導入によって各施設で著しい医療の質の向上と年間1億円以上の経済効果が得られることが示された.最近,長引く不況と少子高齢化そして診療報酬の包括化が進むなか,医療の現場ではこれらの対策ツールのひとつとしてNSTが注目を集めている.

キーワード
NST (栄養サポートチーム), Potluck Party Method (PPM), 栄養療法, 在院日数, 経済効果


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