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日外会誌. 104(6): 443-446, 2003


特集

膵囊胞性疾患の新展開-IPMTを中心に-

3.IPMTの癌化,悪性化に関わる分子生物学的因子

横浜市立大学 医学部第2外科

市川 靖史 , 上田 倫夫 , 三浦 靖彦 , 国広 理 , 石川 孝 , 遠藤 格 , 関戸 仁 , 嶋田 紘

I.内容要旨
Intraductal Papillary Mucinous Tumors(IPMT)の分子生物学的研究は膵の発癌および悪性化に多くの新知見をもたらしている.G1/S期の細胞周期制御に関わるp53, p16, p21, cyclin D1,また癌増殖抑制に関わるDPC4/SMAD4および粘液の主成分であるMUC-1/2の発現あるいは消失はIPMTが癌化し,浸潤能を持ち悪性化していく際に重要な役割を持つものと考えられる.分子生物学的悪性化因子の異常から見る限りinvasive IPM Cancerと通常型膵管癌の間に悪性度の差は明らかではなく,IPMTとはいえinvasive IPMCは充分に配慮された治療計画に基づく診療が必要であると考えられる.マイクロアレイなどによる網羅的解析は更に多数の因子の詳細な検討を可能にし,膵癌治療の新たな分子標的が見出されるものと考えられる.

キーワード
IPMT, 通常型膵管癌, 分子生物学的悪性化因子, p53, MUC-1/2


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