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日外会誌. 103(6): 472-475, 2002


特集

癌の分子診断学-ここまで進んだ診断・治療への応用-

5.肝癌における遺伝子診断の現状

名古屋大学大学院 医学研究科病態制御外科学

竹田 伸 , 中尾 昭公

I.内容要旨
原発性肝癌の遺伝子診断は,主に血液中のmRNAやDNAを検出し,転移や再発因子としての臨床的意義が報告されてきた.AFPmRNAに関しては, RT-PCR法を用いて周術期にAFP産生細胞を検出し,再発・予後との相関を示唆したが,文献的に非癌患者にも少数検出できることより,血液中の細胞数を検索するようになってきた.Real-time PCR法やRT-PCR定量化などによって,細胞数の多い程,術後早期に再発を認めており,臨床応用が可能になってきた.
血液中(血清・血漿)DNAの検出は,p16p15遺伝子のmethylation, mtDNA mutationなどの癌特異的遺伝子の断片を検出していることより,mRNAとは異なり,腫瘍マーカーのような早期診断や治療後の遺残癌の診断に利用可能と思われる.
今後は,血液遺伝子診断に利用できる肝癌細胞に特異的な遺伝子の検索や放射線・化学療法の感受性に関する遺伝子検索を行い,臨床応用されることが期待される.

キーワード
血中癌浮遊細胞, 血中DNA, AFP, p16, 予後因子


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