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日外会誌. 102(11): 815-819, 2001


特集

肝臓外科における血行再建

7.胆道癌における門脈切除再建の適応と手技

名古屋大学大学院 器官調節外科

梛野 正人 , 二村 雄次

I.内容要旨
肝門部胆管癌や進行胆嚢癌を根治的に切除するには,肝切除に加え門脈の合併切除・再建がしばしば必要となる.右からの肝切除では,多くの症例で肝切離前に門脈の環状切除・再建が可能である.通常,余裕をもって端々吻合を行うことができるが,門脈の切除長が5cm以上にも及ぶ場合には,外腸骨静脈を用いたグラフト間置による再建を行う.左からの肝切除では,肝切離前に門脈の切除・再建を行うことは困難である.また,門脈の切除・再建をデザインする上で重要な門脈右枝本幹の長さにもかなりの幅があるので,切除・再建の方法は癌の浸潤範囲と右枝本幹の状況を総合的に判断して決定することになる.右あるいは左からの肝切除いずれの場合にも,癌の浸潤が極めて軽度であれば楔状切除で対処できるが,門脈欠損部は横縫合で閉鎖する.縦縫合による再建は門脈狭窄の原因となるので行うべきではない.
これまでに当科で肝切除に加え門脈の切除・再建を行った胆道癌は106例で,ほぼ全例が葉切除以上のmajor hepatectomy施行例であった.肝門部胆管癌では5年以上生存を3例に認め,積極的に門脈切除を行う意義が示唆された.しかし,胆嚢癌では全例3年以内に死亡しており,その手術適応は慎重に決定されるべきであろう.

キーワード
胆管癌, 胆囊癌, 肝切除, 門脈切除・再建


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