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日外会誌. 100(2): 220-227, 1999


特集

消化器癌術後再発例への対策と成績

8.再発癌に対するインターベンショナル・ラジオロジー

奈良県立医科大学 放射線科

打田 日出夫 , 田中 健寛 , 阪口 浩 , 吉岡 哲也 , 穴井 洋

I.内容要旨
術後再発癌が再度の手術により救命できる症例は限られており,再発癌の治療において非手術的な姑息的治療が主体となる中で,低侵襲的,非観血的治療を最大の特徴とするインターベンショナル・ラジオロジー(IVR)は,重要な役割を占める.消化器癌術後再発例への対策におけるIVRの評価について食道癌,胃癌,胆道癌,肝癌などの実例を呈示して概説した.食道癌や胃癌術後の再発による消化管狭窄に対する食道用のステントを用いたステント治療の有用性について,11例(食道癌術後再発2例,胃癌術後再発9例)の成績を中心に述べた.80%で狭窄症例が改善し,食道ステント留置後の生存期間は平均14週であった.胆道癌術後の再発は主に胆管・空腸吻合部の閉塞であり,胆道系以外の癌の再発では主にリンパ節転移や肝転移から生じる胆道閉塞であるが,切除術は行われないことが多く,IVR,特にexpandable metallic stentを用いた胆道内瘻術が行われている.胆管・空腸吻合部狭窄8例にbare stentを留置し,生存期間は169日(中央値),再閉塞では88日(中央値)であった.HCCの切除後再発例は,腫瘍が多発し,残存肝機能は低下し,また,癒着などの影響により再手術操作が困難なことが多く,IVR治療が適応となることが多い.エタノール(PEIT),熱湯(PHoT),マイクロウェーブ凝固療法(PMCT),Lipiodol(Lp)-TAE, Segmental Lp-TAE,リザーバー動注などを腫瘍の個数や局在,肝機能,患者の希望などを総合して適切な治療法を選択することが大切である.再発HCC 18例にSegmental Lp-TAEを施行し,累積生存率は1年89%,3年66%,5年50%であり,従来のTAEの成績を凌駕していた.転移性肝癌の術後再発ではリザーバー動注が治療法の第一に位置づけられる.

キーワード
再発癌, インターベンショナル・ラジオロジー, IVR, メタリックステント, TAE


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