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日外会誌. 100(2): 228-230, 1999


症例報告

肺癌と劇症型抗リン脂質抗体症候群:上腸間膜
動脈閉塞に対する1手術例

1) 下関市立中央病院 外科
2) 下関市立中央病院 内科

吉田 順一1) , 岩井 敏郎1) , 真弓 武仁2) , 浴村 正治2) , 池田 真一1) , 松尾 憲一1) , 赤尾 元一1)

I.内容要旨
抗リン脂質抗体症候群の特徴として血管閉塞性病変,反復性流死産,血小板減少症があり,その一群に劇症型が分類されている.
症例は40歳,女性.1997年5月5日,発熱と構語障害・左半身不全麻痺にて来院.血管造影にて右中大脳動脈の分枝が狭窄していた.臨床検査では血小板120,000/μl, lupus anticoagulant陽性であった.また左肺下葉にT4N3M0の腺癌が判明し,第66病日第1回の照射3Gyを行った.翌日下腹部痛と下血が生じ,第68病日の血管造影にて上腸間膜動脈の第3分岐以下,右腋窩動脈,左大腿動脈が閉塞していたが,四肢に虚血所見はなく,同日に広範小腸・右結腸切除を行った.第70病日に肝梗塞の所見を示し,第72病日に肝不全死した.
肺癌の存在あるいは治療が抗リン脂質抗体症候群の劇症化に影響を与えた可能性があり,これを報告する.

キーワード
抗リン脂質抗体症候群, 上腸間膜動脈, 肺癌


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