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日外会誌. 99(7): 446-451, 1998


特集

大腸癌:浸潤・転移の基礎と臨床

10.大腸癌における PyNPase 発現と癌進展

1) 大阪逓信病院 外科
2) Roswell Park Memorial Institute 
3) 大阪大学 医学部第2外科
4) 市立豊中病院 外科
5) 県立西宮病院 外科

門田 卓士1) , 八幡 暁直2) , 天野 正弘3) , 加納 寿之1) , 辻江 政樹3) , 池田 公正4) , 伊澤 光5) , 大西 直3) , 関本 貢嗣3) , 冨田 尚裕3) , 岡村 純1) , 門田 守人3)

I.内容要旨
ホルマリン固定パラフィン切片から蛋白を抽出しWestsern blot解析する手法を新たに開発して,大腸癌におけるPyNPase発現を癌部分と間質部分に分けて検討した.98例の大腸癌症例を検討した結果,癌分画のPyNPase発現量が45.1±10.5(unit/mg protein)だったのに対し,間質分画では70.2±18.5と有意に高い値となった(p< 0.0001).癌分画と間質分画におけるPyNPaseの発現量とCD34陽性の脈管の密度との相関を見ると,間質分画のPyNPase発現量と脈管密度との間に相関が強くみられたが,癌分画PyNPase量とは相関がなかった.stage IIIbの21症例について,癌分画および間質分画のPyNPase高値群と低値群で予後を比較すると,癌分画のPyNPase高値群の予後が有意に悪かったが,間質分画PyNPaseの高値群と低値群間では予後に差がみられなかった.健常人末梢血中から分離した単球をmulticytokine inducer OK-432で刺激すると短時間内にPyNPaseが発現誘導され,その培養上清中に5’DFURを添加すると5-FUに変換されることがわかった.

キーワード
PyNPase, Colorectal cancer, Protein extraction, Western blotting


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