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日外会誌. 99(6): 379-384, 1998


特集

大腸癌発生予防の基礎と臨床

9.大腸 aberrant crypt foci を指標とした発癌予防の臨床

1) 札幌医科大学 内科学第4講座
2) 国立札幌病院 消化器科
3) 新日鐵室蘭総合病院 消化器科

勝木 伸一1) , 大井 雅夫1) , 高山 哲治1) , 高橋 康雄2) , 野尻 秀一3) , 新津 洋司郎1)

I.内容要旨
Aberrant crypt foci(ACF)は,メチレンブルーに濃染する大腸の微小病変であり,大腸癌の発生母地として注目されている.ACFの58~73%は既にK-ras変異が認められており,ACFにおける細胞増殖活性の亢進も報告されている.ACFは,動物実験により大腸癌の発癌プロモーターとして知られる(二次)胆汁酸によりその数や大きさが増大すること,また,aspirinなどの発癌に抑制的に作用するとされている薬剤により,その数や大きさが減少することが報告されている.以上のことから,ACFは大腸癌の発生母地と考えられるようになった.我々は,拡大内視鏡を用いてヒトACFを観察し,正常人,腺腫及び癌患者の順にACFの陽性率や数が増加することを示し, ACFがadenoma-carcinoma sequenceのprecursorであることを明らかにした.さらに,ヒトにおいてaspirinなどのNSAIDsの服用により, ACFが実際に消失することを明らかにし,ACFがケモプリベンションの立場からも有用なバイオマーカーになるものと考えている.

キーワード
拡大内視鏡, aberrant crypt foci, adenoma-carcinoma-sequence, NSAIDs


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