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日外会誌. 99(2): 73-77, 1998


特集

心臓再手術の現況

4.Fallot四徴症根治手術の再手術

札幌医科大学 第2外科

高木 伸之 , 安倍 十三夫

I.内容要旨
Fallot四徴症根治術後の遠隔期に少数ではあるが,遺残病変のために再手術の必要性に迫られる症例を経験する.これらに対して以前より報告してきた適応基準に基づき積極的に再手術を施行してきた.今回,これら再手術症例を対象に手術適応,再手術法,手術成績などにおける問題点を再検討したので報告する.1955年より現在までのFallot四徴症根治術症例472例中,再手術は36例(7.6%),再々手術は8例であった.適応基準に基づく再手術の適応はQp/Qs 2.0以上12例(33.3%),右室流出路狭窄(圧較差50mmHg以上)12例(33.3%),三尖弁逆流(III度以上)11例(30.6%),肺動脈弁逆流(III度以上)10例(27.8%)であったが,多くはこれらの複合病変であった.再々手術の適応は,再手術から遷延する三尖弁閉鎖不全及び感染性心内膜炎によるものが特徴的であった.再手術,再々手術の手術成績は各1例(2.8%,12.5%)であり,遠隔成績では5例(14.7%)の遠隔死(産褥性心筋炎1例,突然死3例,肺癌1例)を認めた.累積生存率は,15年で75.7±8.3%であり,現在生存中の29例のNYHA分類は,I度25例,II度4例と良好であった. Fallot四徴症根治術後の再手術は,諸家の報告,自験例ともに手術死亡率は低く遠隔予後も良好であり,遺残病変に対し的確な適応決定の上,積極的に再手術を施行すべきと考える.

キーワード
Fallot 四微症根治術後再手術, 遺残心室中隔欠損, 右室流出路遺残狭窄, 術後肺動脈弁逆流, 術後三尖弁逆流


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