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日外会誌. 97(5): 343-346, 1996


特集

乳癌領域の最近のトピックス

非触知乳癌の診断法
-Stereo-guide Breast Biopsy の有用性-

(財) 癌研究会附属病院 乳腺外科

吉本 賢隆 , 多田 隆士 , 霞 富士雄

I.内容要旨
検診におけるマンモグラフィーの普及により微細石灰化病変などの非触知病変が多く認められるようになっている.この中からは非触知乳癌が発見されるが,他の大部分は良性病変であり,その取り扱いをどうするかが大きな問題となっている.確定診断のためには細胞診あるいは組織診が必要であり,従来は安易に試験切除が行われてきた.しかし,良性病変に対しては過大侵襲を及ぼすことが問題となる.このため,各種の画像誘導下穿刺法による診断法が開発されている.超音波誘導下穿刺による細胞診は最も簡単でかつ安全に施行出来,広く行われているが非触知病変の多くには適応とならない.また,X線誘導下穿刺細胞診は微細石灰病変などの非触知病変に対しては的確な診断が通常困難である.そこで,X線誘導下で安全かつ確実に組織片が採取可能なStereo-Guide Breast Biopsy Systemが開発され注目されている.今回,LORAD社製の装置を用いた臨床経験を重ねたので,装置の概要について紹介し,その有用性について述べた.同装置はマンモグラフィー上の微細石灰化病変等の3次元位置を同定し,biopsy gunを用いて,容易に,安全かつ確実にCore needle biopsyが可能であった.非触知の103病変に14ゲージ穿刺針を用いて組織採取を行い,14個の癌が発見された.微細石灰化病変などの非触知病変に対して極めて有用な診断法であった.

キーワード
非触知乳癌, 非浸潤癌, Stereo-guide biopsy


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