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日外会誌. 97(5): 338-342, 1996


特集

乳癌領域の最近のトピックス

乳管内進展乳癌の超音波診断

東京女子医科大学 第2外科

神尾 孝子 , 浜野 恭一 , 亀岡 信悟 , 木村 恒人

I.内容要旨
乳管像に着目した超音波画像の読影により,超音波による乳管内病変の評価が可能となった.“乳管像分類”に基づいて画像を評価し診断を行った結果,良・悪性の正診率は94.4%であった.超音波画像における癌の乳管内進展の特徴は,広基性の乳管内不整腫瘍像や口径不整な桿状構造などであり,これらに伴って微細石灰化像や不整小結節像の観察も可能であった.
癌の乳管内進展範囲の診断は,乳管内進展像の連続性の検索により可能となる.腫瘤径3.0cm以下且つ乳頭腫瘤間距離3.1cm以上の症例および非触知症例について,乳房温存術の適応の選択と乳腺切除範囲の設定に超音波を応用した結果,その正診率は94.2%であった.
乳房温存治療において癌遺残を回避する見地から,乳癌の乳管内進展に対する診断法の確立が重要な課題となっている今日,超音波はこれに極めて有用な手段であると考えられた.今後,診断精度の向上とあいまって,超音波に期待される役割は一層重要と思われる.

キーワード
乳癌, 乳管内進展, 超音波, 乳房温存治療


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