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日外会誌. 95(11): 838-842, 1994


症例報告

C 型肝炎に対するインターフェロン投与後,自然破裂で診断された急速発育型肝細胞癌の 1 例

海津郡医師会病院 外科

鬼束 惇義 , 安田 博之 , 山田 直樹 , 宮田 知幸 , 可知 稔己

(1993年7月12日受付)

I.内容要旨
C型慢性肝炎に対するインターフェロン(IFN)投与後,急速に発育し自然破裂で診断された肝細胞癌の1例を経験した.症例は74歳, C型肝炎ウイルス陽性の男性である.各種画像診断にて肝内に腫瘍性病変を認めず, AFP値も10ng/ml以下であった. 1992年6月17日より3カ月間IFN α2b 1,000万単位の投与を受けた.投与終了後2カ月目にGPT 408IU/ lとリバウンドがあったが,その後は低下して来た.同年12月29日,突然心窟部に劇痛を来たしショック状態で来院した.各種画像診断にて肝右葉に9×10cmの腫瘤を認め, AFP値は8,499ng/mlであった.肝細胞癌自然破裂と診断し,緊急経動脈的肝動脈塞栓術にて止血後, 35日目に肝切除を施行した.本報告例の急速発育にIFNが関与した可能性は否定出来ず, IFN投与中あるいは投与後の症例に対しては,肝細胞癌の発育に注意し厳重な経過観察が必要であると考えられた.

キーワード
肝細胞癌, インターフェロン


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