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日外会誌. 95(9): 704-708, 1994


症例報告

回腸穿孔を合併したアレルギー性肉芽腫性血管炎の1例

神戸大学 医学部第1外科

吉栖 一生 , 長畑 洋司 , 山口 俊昌 , 川北 直人 , 和田 哲成 , 山本 正博 , 斎藤 洋一

(1993年4月28日受付)

I.内容要旨
アレルギー性肉芽腫性血管炎(AGA)の加療中に回腸穿孔を合併した症例を経験した.症例は52歳男性で,50歳時から気管支喘息が発症し加療されていたが,喘息の増悪・血管炎が出現したため臨床症状および血液検査(白血球13,000/mm3,好酸球11.1%,IgE 1,290U/ml,RA2+)からAGAと診断された.その後副腎皮質ホルモンが投与されていたが,加療中に突然右下腹部痛が出現,腹部X線写真から消化管穿孔と診断した.緊急手術を施行したところ回腸に2カ所の穿孔を認めたため,穿孔部位を含めた約20cmにわたる回腸切除を施行した.術後も副腎皮質ホルモンの投与を続行したところ,経過は良好であった.本邦報告11例の集計からはAGAに合併する消化管穿孔は小腸に発生することが多く予後不良で,術後の副腎皮質ホルモン投与が重要と考えられた.

キーワード
アレルギー性肉芽腫性血管炎, 消化管穿孔


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