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日外会誌. 94(7): 722-729, 1993


原著

ss 胆嚢癌の進展様式からみた合理的切除術

福井医科大学 第1外科

泉 俊昌 , 嶋田 紘 , 前原 正典 , 片山 寛次 , 野手 雅幸 , 関 弘明 , 中川原 儀三

(1992年3月9日受付)

I.内容要旨
ss (hinf1)胆嚢癌22例の進展様式, , 術後成績より合理的な術式の選択および予後規定因子を検討した.
ss癌はly(+) 91%, v (+) 77%, pn (+) 64%, n (+) 68%で, n4(+)は26%であった. ss癌の相対非治癒以上の治癒度での5生率は68.8%であったが, 絶対非治癒では3年生存例がなく, 相対非治癒以上の治癒度が術式の選択に重要であった.漿膜下浸潤様式ssαの進展様式はむしろpm癌に近くn1以下であるためR2郭清で良いが, sβ・γでは75%がn2以上のためR2+⑨, ⑯郭清が必要と思われた.binf(-)での非治癒因子は単独でかつ切除断端陰性であったが, binf(+)では全例切除断端陽性のため絶対非治癒となった.すなわちbinf(+)では切除断端陰性を目的とした術式を選択すべきであった.また占居部位が胆嚢管にかかるものでは, 75%がbinf(+)となった.相対非治癒以上の治癒度で再発率は27%であったが, n(+)では43%, Aneuploidでは50%と高率であった.相対非治癒以上の治癒度においてn(+)およびAneuploidは予後を規定する因子であり, 術後補助化学療法の指標として有用と思われた.
以上よりss癌の治療方針はまず術中超音波検査を行い, (1)US深達度pmではssαまでと考え, 肝床切除+R2郭清を施行する.(2)US深達度ssではssβ・γと考え, Binf(-)例には肝床(またはS4下5)切除+胆管切除+R2および⑨, ⑯郭清を施行する.(3)US深達度ssでBinf(+)または胆嚢管にかかる例では, 更に肝十二指腸間膜全切除の追加を考慮する.(4)術後の病理学的検索で相対非治癒以上の治癒度が得られていても, n(+)またはAneuploidの症例ではCDDPを中心とした補助化学療法を施行する.

キーワード
ss 胆嚢癌, 進展様式, 非治癒因子, 根治手術, 予後規定因子


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