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日外会誌. 92(11): 1577-1582, 1991


原著

Linitis plastica 型胃癌の臨床病理学的ならびに組織化学的検討
ーとくに胃底腺領域癌との関連についてー

1) 大阪市立大学 医学部第1外科
2) 育和会記念病院 

曽和 融生1) , 加藤 保之 , 中西 一夫 , 久保 俊彰 , 西村 昌憲 , 鄭 容錫 , 梅山 馨2)

(1990年10月6日受付)

I.内容要旨
Linitis plastica型胃癌例および胃底腺領域の早期胃癌について臨床病理および組織化学的に検討を加え,以下の成績を得た.
胃底腺領域癌は女性に多く,平均年齢46.9歳とLinitis plastica型胃癌の54.1歳に比べ若年層にみられた.病巣の占居部位は胃体部後壁,大わん側に多く組織型は全例未分化型癌であった.胃底腺領域に直径2cm以下のIIc病変の見られたLinitis plastica型9例の全割切り出し標本の検討ではIIc型病巣は胃体部後壁に占居し,この部を中心にほぼ胃全域にわたる巨大皺壁を認め,さらにこの部から粘膜下組織,筋層,漿膜外へとびまん性浸潤像を認めた.組織型は全例印環細胞を混じた未分化型癌であった.組織化学的検討では胃底腺領域癌の浸潤先進部およびLinitis plastica型癌病巣部間質には酸性ムコ多糖およびシアル酸の存在が認められた.とくに胃底腺領域では腫瘍間質での酸性ムコ多糖の各種消化酵素消化率が完成されたLinitis plastica型胃癌間質に比べ高く,胃底腺領域癌の腫瘍増殖進展に好適な環境が形成されている可能性が推測された.以上の結果から胃底腺領域癌のあるものはLinitis plastica型胃癌に進展する可能性が示唆された.

キーワード
Linitis plastica型胃癌, 胃底腺領域癌, 早期胃癌


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