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日外会誌. 92(7): 813-819, 1991


原著

胃粘膜の腸上皮化生における血液型関連抗原の発現と癌化との関連

愛知県がんセンター 消化器外科
1) 名古屋市立大学 医学部第1外科
2) 名古屋大学 医学部第2外科

小林 建司 , 坂本 純一 , 山村 義孝 , 紀藤 毅 , 稲垣 宏1) , 渡辺 正2) , 中里 博昭

(1990年7月13日受付)

I.内容要旨
血液型関連抗原であるLewis抗原に対するモノクローナル抗体を用いて,胃粘膜の異型から癌化へのメカニズムを検討するために,腸上皮化生を有する胃癌切除例33例を対象に免疫組織染色を行った.正常腺窩上皮では,Lewisb抗原が強く発現し,その陽性率は90.9%と高かった.Lewisa抗原は約半数が陽性であった.これに対し,正常胃底腺または幽門腺ではLewisx,Lewisy抗原が強く発現し,陽性率はそれぞれ87.8%,90.9%であったが,Lewisa,Lewisb抗原はほとんど発現しなかった.腸上皮化生部においてLewisa抗原が強く発現し, Lewisb抗原は減少,Lewisx,Lewisy抗原は陰性であった.腸上皮化生部におけるLewis抗原のこの発現形式は高中分化型腺癌でのこれら抗原の発現とほぼ一致していた.この結果より,抗原発現の変化からみると,腸上皮化生と高中分化型腺癌とは極めて類似したパターンを示すことが明らかとなった.

キーワード
Intestinal metaplasia, Lewis antigens, Gastric cancer


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