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日外会誌. 92(5): 603-606, 1991


症例報告

膵体部 acinar-islet cell tumor の1例

聖隷浜松病院 外科

町田 浩道 , 中谷 雄三 , 小島 幸次朗 , 神崎 正夫 , 戸田 央 , 鳥羽山 滋生

(1990年4月23日受付)

I.内容要旨
膵癌の中でも併存癌は少ない.我々はacinar cell及びislet cellの両者の特徴を持った膵腫瘍の1例を経験したので報告する.膵芽腫で多分化能を呈した症例を除けば,自験例は5例目である.この症例は,膵の内分泌と外分泌の組織発生を考える上で興味深い症例である.
症例は34歳女性で,体重減少(8kg/6ヵ月)を主訴に当院を受診した.腹部超音波,CT,MRIで境界明瞭な膵体部腫瘤を認めた.超音波ガイド下針生検にてClass IIIであった.1988年10月5日腫瘍摘出術を行った.組織学的には,腫瘍内の同一細胞内にacinar cellとislet cellの両者の特徴を示す成分が認められ,電顕的にもチモーゲン顆粒,神経内分泌顆粒が種々の割合で存在していた.術後経過は順調で,1年7ヵ月後の現在,肝転移や再発像もなく社会復帰している.

キーワード
膵併存癌, 膵腺房・島細胞腫瘍, 透過型電子顕微鏡像


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