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書誌情報]
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日外会誌. 92(3): 313-319, 1991
原著
大腸上皮性腫瘍の良・悪性判定におけるNucleolar Organizer Regions の有用性
I.内容要旨大腸正常粘膜23領域,低異型腺腫17病変,sm癌8病変を用いて,核小体形成部位(nucleolar organizer regions,NORs)を特異的に銀染色するAgNORs染色の病理組織診断面への応用の可能性を検討した.
大腸正常腺管の1核当たりの平均AgNORs数,1AgNOR当たりの平均断面積は,増殖帯に相当する陰窩下2/3に位置する細胞で2.2~2.4/核,1.06~1.0µm
2と上1/3に位置する細胞の1.7/核,0.97μm
2に比べ多くかつ大きく,細胞の増殖能とAgNORs数・大きさとの間に正の相関関係があることが示唆された.
正常腺管,低異型腺腫,sm癌腺管のAgNORs平均断面積は正常腺管(0.97~1.08μm
2),低異型腺腫(1.60±1.00μm
2),sm癌腺管(2.06±1.42μm
2)であり悪性度と正の相関傾向を示したが,平均AgNORs数は正常腺管腺底部(2.41±0.29/核),sm癌腺管(2.48±0.33/核),低異型腺腫(3.03±0.13/核)であり(p<0.01),必ずしも異型度とは正の相関を示さなかった.しかしこの2計測値を用いると正常腺管,低異型腺腫,sm癌腺管は1核当たりの平均AgNORs数2.8/核,1AgNOR当たりの平均断面積2μm
2を境として判別される傾向を示した.また平均断面積と最大径はr=0.90~0.99の高い相関係数を示し,日常の診断面では最大径が断面積の代用になりうると考えられた.
正常腺管,低異型腺腫,sm癌腺管はAgNORsの大きさ(断面積・最大径)と数の2項目により判別可能であり,AgNORs染色は大腸上皮性腫瘍性病変の病理組織診断面に応用可能な染色法の1つであると考えられた.
キーワード
大腸癌, 核小体, Nucleolar organizer regions, AgNORs
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