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日外会誌. 92(3): 308-312, 1991


原著

胃下部進行癌に対する膵頭十二指腸切除と胃膵全摘・自家膵移植の手術成績

金沢大学 医学部第2外科

米村 豊 , 大山 繁和 , 鎌田 徹 , 清水 康一 , 小坂 健夫 , 山口 明夫 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1990年3月10日受付)

I.内容要旨
胃下部進行癌治癒切除例で第3,4群リンパ節転移(n3, n4),十二指腸浸潤(d),膵頭部浸潤(si)を有する90例を対象とし,膵頭十二指腸切除術(PD)の適応を検討するとともに,胃膵全摘・自家膵移植の成績を述べる.PDは24例,非PDは59例,胃膵全摘・自家膵移植は7例に施行された.n3, d(+)例ではPD群と非PD(胃亜全摘)群で生存率の差を認めなかった.しかし,PD群では非PD群にくらべ有意にsi因子を併存する例が多かった.一方,si例ではPDの5生率72%,非PD 0%と有意にPD群の生存率が良好であった.胃膵全摘・自家膵移植は全例No. 16転移例を対象として行われ,その2生率は80%で,No. 16転移例で非PDやPDの施行された11例の2生率にくらべ良好であった.以上より,PDの絶対的適応はsi症例であり, n3, d(+)例では相対的適応があると考えられた.またNo. 16転移例では胃下部のリンパ路をen blocに切除できる胃膵全摘・自家膵移植は最も根治性の高い術式と考えられた.

キーワード
進行胃癌, 膵頭十二指腸切除, 胃膵全摘・自家膵移植


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