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日外会誌. 92(3): 303-307, 1991


原著

胃癌における増殖関連抗原 P-105の発現:転移の新しい指標として

金沢大学 医学部第2外科

大山 繁和 , 米村 豊 , 津川 浩一郎 , 木村 寛伸 , 鎌田 徹 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1990年2月20日受付)

I.内容要旨
進行胃癌43例を対象に,細胞周期のprogressionに関与していると考えられているproliferation associated nuclear antigen P-105の発現をflow cytometryを用いて解析した.P-105は,正常細胞では発現がきわめて低く,癌では正常細胞の約4倍の発現量の増大が認められた.正常細胞と癌細胞のG0G1期細胞の平均P-105蛍光量をP-105 intensityとして癌におけるP-105の発現を評価した.その結果,P-105 ntensityはDNA index,S-phase fractionとは相関を示さなかった.また,病理組織学的所見との関連では,組織型,間質,浸潤様式,肉眼型とは相関を示さなかった.しかし,肝転移例では高値を示し,逆に腹膜播種例では低値を示した.
これらのことより,P-105 intensityは,病理組織学的所見,DNA ploidy,細胞増殖活性などとは異なった面からの癌の転移様式の指標となる可能性が示唆された.

キーワード
proliferation associated nuclear antigen, gastric cancer


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