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日外会誌. 92(1): 89-92, 1991


症例報告

副左胃動脈を栄養血管とする残胃早期癌の1例

公立南丹病院 外科
*) 公立南丹病院 内科

鈴木 茂敏 , 植木 孝宜 , 岡本 雅彦 , 福田 雅武 , 宮内 卓 , 石田 正夫*)

(1989年12月26日受付)

I.内容要旨
我々は十二指腸潰瘍術後22年を経た残胃に,副左胃動脈を栄養血管とするI型早期癌の1例を経験したので報告する.症例は65歳,女性.22年前に十二指腸潰瘍でBillroth II法による幽門側胃切除術をうけた.食欲不振を主訴として本院へ紹介された.胃X線検査及び胃内視鏡検査にて残胃食道胃接合部直下後壁に隆起性病変を認め,生検ではgroup V (por) であった.固有肝動脈造影で左肝動脈から分枝している副左胃動脈がこの腫瘍の栄養血管であるのが確認された.R2リンパ節郭清をし,残胃全摘脾合併切除を行った.肉眼的進行度はSoN (-) Ho Po Stage Iであった.組織学的所見は低分化腺癌で,粘膜下組織まで達していた.副左胃動脈を栄養血管とする残胃癌の報告は,我々が文献検索しえた限りではなかった.

キーワード
残胃早期癌, 副左胃動脈


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