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日外会誌. 92(1): 93-96, 1991


症例報告

Spontaneous Mesenteric Fibromatosisの1症例

東京医科大学 外科1講座
東京医科大学 病院病理部

中嶋 伸 , 斉藤 宏 , 河手 典彦 , 小中 干守 , 加藤 治文 , 海老原 善郎

(1989年12月27日受付)

I.内容要旨
Fibromatosisは多種類の良性線維性増殖の総称であり,周囲臓器に対し浸潤性に発育し,局所再発するという特徴を有する.発生部位は腹壁,四肢の筋肉や筋膜及び腹腔内など全身各所に及ぶ.今回我々は,イレウス症状を契機として発見されたSpontaneous Mesenteric Fibromatosisの1例を経験したので報告する.症例は31歳男性で,腹部膨満感・腹痛を主訴に来院,左腹部を中心に充実性の腫瘍を触知したため,腹部腫瘍に基づく機械的イレウスと診断し,手術を施行した.腫瘍発生部位は回腸間膜であり,腫瘍及び腫瘍発生部位の回腸の合併切除を施行した.現在,再発の兆候は認められていないが,放射線療法,化学療法やホルモン療法などの補助療法は無効であり,しかも不完全な摘出により再発する危険性を有するため,本症例に対しては初回手術における可及的広範囲切除が重要であると考える

キーワード
Mesenteric fibromatosis, Intraabdominal desmoid


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