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日外会誌. 91(7): 859-863, 1990


原著

肝細胞癌に対する術前リピオドール・シスプラチン・サンドウィッチ療法の抗腫瘍効果と遠隔成績

大阪府立成人病センター 外科
*) 大阪府立成人病センター 放射線科
**) 大阪府立成人病センター 病理

柴田 高 , 佐々木 洋 , 今岡 真義 , 永野 浩昭 , 岩永 剛 , 藤田 真*) , 石黒 信吾**)

(1989年7月24日受付)

I.内容要旨
単発10cm以下の肝細胞癌に対して絶対非治癒切除を除く切除症例で,術前TAEとしてリピオドール・シスプラチン・サンドウィッチ療法施行例53例と非TAE例60例を比較検討した.また,組織学的抗腫瘍効果を術前サンドウィッチ症例31例で検討した.背景因子の検討では両群間に明らかな差は認められなかった.術前サンドウィッチ療法の抗腫瘍効果は主腫瘍100%壊死が31例中21例(71%)であった.肝内進展巣の合併率は娘結節38%,門脈内腫瘍栓32%,被膜内浸潤68%,被膜外浸潤36%であった.また,それぞれに対する100%壊死率は,娘結節58%,門脈内腫瘍栓70%,被膜内浸潤52%,被膜外浸潤36%であった.遠隔成績の検討では術前サンドウィッチ療法群では4年累積無再発生存率は56%,4年累積生存率は83%で非TAE群の27%,53%に対して有意(p<0.05,p<0.01)に良好な成績であった.

キーワード
Hepatocellular carcinoma, Transcatheter arterial embolization, Cisplatin, Sandwich therapy


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