[書誌情報] [全文PDF] (1206KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 91(7): 851-858, 1990


原著

ラット結腸間間置回腸における MNNG 発癌に関する研究

金沢大学 医学部外科学第2講座(主任:宮崎逸夫教授)

加藤 真史

(1989年9月13日受付)

I.内容要旨
小腸癌は極めて少ないが,その臓器特異性を解明する目的で,Wistar系雄性ラットを用いて以下の実験を行った.I群は回腸係蹄の遠位大腸間間置術,II群は単開腹術である.術後2週目よりMNNGを2.5mg/day,14日間注腸投与した.40週後,BrdU 50mg/kgを静注したのち屠殺した.腫瘍発生率はI群77%,II群78%とほぼ同じであったが,腫瘍の発生部位には明らかな違いがみられ,単位面積あたりの腫瘍個数はI群:大腸0.153,間置回腸0.015,II群:大腸0.119と大腸で多く,間置回腸で有意に少なかった.間置回腸粘膜および回腸粘膜におけるBrdUのLabeling lndexは8.2%,9.7%であり両者間に差はなかったが,大腸粘膜の5.1%に比して,いずれも有意に高率であった.以上より,間置回腸粘膜は大腸粘膜と比較すると,MNNGによる腫瘍誘発に抵抗性を有することが示された.その一因として,小腸粘膜上皮の速いcell turnoverが関与していると考えられた.

キーワード
carcinogenesis, interposed intestinal segment, N-methyl-N’-nitro-N-nitrosoguanidine, 5-bromodeoxyuridine, labeling index


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。