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日外会誌. 91(7): 864-874, 1990


原著

膵管閉塞線維化膵切除後の膵内分泌機能に及ぼす estrogen の効果

三重大学 医学部第1外科(指導:水本龍二教授)

渡部 泰和

(1989年8月28日受付)

I.内容要旨
雑種成犬を用い,膵管を結紮して線維化膵を作成し,その4週後に膵広範切除兼膵管再建を行って,残存膵の内分泌機能並びに膵島細胞の変化を検索し,これらに及ぼすestrogenの効果につき検討した.術後24週間の観察期間中estrogen非投与群では84~63%膵切除で26.7%,84%以上の膵切除では100%に糖尿病を発生したが,estrogen投与群では84~63%膵切除で糖尿病の発現はなく,84%以上の膵切除でもその発現率は30.0%と低率で,糖尿病の発現はestrogenの投与により著明に抑制された.膵内分泌機能や膵島細胞は,estrogen投与により良好に維持され,かつB細胞の変性も著明に抑制された.以上,estrogenは膵管閉塞による線維化膵の広範切除兼膵管再建後の膵内分泌機能を良好に維持し糖尿病の発現を抑制することが明らかとなった.

キーワード
膵管結紮, Sandmeyer 型糖尿病, 膵管再建, 糖負荷試験, 膵島細胞


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