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書誌情報]
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日外会誌. 91(5): 617-621, 1990
原著
実験的急性膵炎犬における肝循環動態の変動
ー特に protease inhibitor の影響についてー
I.内容要旨急性膵炎時の肝循環動態の変動を明らかにするため,雑種成犬15頭を用いて全麻下にtrypsin加自家胆汁の主膵管内注入による急性膵炎犬を作成し,5時間後まで経時的に肝組織血流量,門脈血流量,肝動脈血流量を測定した.また,同様に作成した膵炎犬10頭でprotease inhibitor(PATM)の影響について検討した.
急性膵炎犬では,門脈血流量は,前値213±47ml/minが5時間後で86±16ml/minと有意に低下し,肝動脈血流量は,前値120±40ml/minが66±30ml/minと低下した.肝組織血流量は前値85±31ml/min/100gが5時間後では26±15ml/min/100gを示した.一方,PATM投与膵炎犬では,門脈血流量は前値286±65ml/minが,trypsin加胆汁注入1,2時間後は高値を示し,5時間後でも219±93ml/minとその低下は軽度であった.肝動脈血流量は,前値115±35ml/minが5時間後でも79±36ml/minと比較的維持され,肝組織血流量は,前値88±31ml/min/100gが1,2時間後では77±25,72±14ml/min/100gと著明な変動は示さず,5時間後でも47±21ml/min/100gと軽度の低下が認められた.
以上,急性膵炎犬の肝循環動態では,肝動脈,門脈血流量の低下が,肝組織血流量の低下に繋がる一方,protease inhibitor(PATM)の投与により膵炎作成5時間後でも肝循環の低下は軽度で肝微小循環は保持されると考える.
キーワード
急性膵炎, 肝循環, 肝組織血流量, protease inhibitor
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