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日外会誌. 91(3): 335-339, 1990


原著

胃癌におけるBrdU標識細胞の癌巣内分布からみた悪性度

金沢大学 医学部第2外科

鎌田 徹 , 米村 豊 , 大山 繁和 , 杉山 和夫 , 小坂 健夫 , 三輪 晃一 , 宮崎 逸夫

(1989年4月3日受付)

I.内容要旨
胃癌50例についてBrdU標識細胞の分布と各種臨床病理学的所見および核DNA ploidy patternを比較検討した.BrdUの標識は開腹1時間前にBrdUを1g点滴静注し,切除標本を70%エタノール固定パラフィンブロックとした後,薄切し,ABC法を用いて行った.BrdU標識率は癌巣表層部,内部,深層部それぞれの部位で腫瘍細胞1,000個あたりで算出した.核DNA ploidy patternはflowcytometryを用いて測定し, diploid, aneuploidに分類した.癌層表層部のBrdU標識率は平均19.6%で内部,深層部のそれぞれ16.2%,14.2%に比較して有意に高かった.そこでBrdU標識細胞の分布様式を以下の3種類に分類した.superficial typeは表層部あるいは内部の標識率が高いもの,deeptypeは深層部が高いもの,diffuse typeは各層の標識率がほぼ等しいもの,である.その結果,superficial typeが最も多かったが,diffuse typeは,superficial typeに比較して,リンパ節転移例,リンパ管侵襲陽性例,静脈侵襲陽性例,腫瘍径4cm以上,aneuploid,分化型(特に進行癌)が多かった.deep typeは2者の中間的な存在であった.以上より,BrdU標識細胞の分布様式は胃癌における悪性度を知る上で重要であると思われた.

キーワード
BrdU 標識細胞, 癌巣内分布, 胃癌, 胃癌の悪性度


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