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日外会誌. 91(1): 146-149, 1990


症例報告

膵石嵌頓が起因となった閉塞性黄疸の1例

兵庫県立成人病センター 外科

守友 仁志 , 中谷 正史 , 竹山 宜典 , 中江 史朗 , 河野 範男 , 兼古 茂夫 , 藤原 順

(1988年11月10日受付)

I.内容要旨
症例は48歳男性.主訴は上腹部痛,近医にて膵炎と診断され入退院を繰り返し,今回,精査目的で当院を受診した.入院時検査成績は慢性膵炎の所見であった.US,CT,ERCPの総合所見で膵管が径12mmと著明に拡張し,屈曲蛇行,内部に可動性の結石を多数認めた.膵に嚢胞や腫瘤はなく,総胆管や胆嚢にも異常はなかった.慢性膵炎と診断し保存的治療を続けたが,入院約1ヵ月後に突然閉塞性黄疸が出現し,上腹部痛の増強と発熱があり,膵酵素も上昇した.総合的に,膵石の膵管総胆管合流部への自然落下,嵌頓による閉塞性黄疸と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.膵管内には計6コの炭酸カルシウム結石があり,最大のものは径1cmで,うち1コが膵管総胆管合流部に嵌頓していた.膵の病理組織像は高度の慢性膵炎の所見であった.
膵石の膵管総胆管合流部への嵌頓による閉塞性黄疸は他に報告例がなく,非常に稀な病態と考えられる.

キーワード
膵石症, 嵌頓, 閉塞性黄疸


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