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書誌情報]
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日外会誌. 91(1): 142-145, 1990
原著
気管合併切除を行った食道癌の2例
―大網による補強の重要性について―
I.内容要旨気管合併切除を行った食道癌の2例に有茎大網片充填を実施し,本法の有効性を確認した.症例1,2は共に胸部上部食道癌(Iu)の気管浸潤例で前者には気管の4リングを切除し端々吻合を,後者には軟骨輪の一部を含む4×1.5cmの膜様部切除有茎肋間筋補填を行った.各々の再建部位は頸部まで挙上された有茎大網片で補強された.症例1には術後膜様部の縫合不全と縦隔炎が発生したが,頸部にまで挙上した有茎大網片は有効に働き致命症には至らなかった.症例2の術後経過は良好である.本疾患に於ける大網片の利用は他疾患の場合よりも不利な条件下で行われるが,気管の合併切除の際には極めて有用な補填組織であると考えられた.
キーワード
食道癌, 気管合併切除, 有茎大網
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