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日外会誌. 88(10): 1452-1456, 1987


原著

血管造影による結腸癌の静脈侵襲診断と肝転移の予測

群馬大学 医学部第1外科(主任:長町幸雄教授)

飯島 俊秀

(昭和61年12月10日受付)

I.内容要旨
結腸癌31例に対し,結腸の静脈を描出することを目的としProstaglandin E1を用いた薬理学的血管造影を施行した.静脈所見を閉塞,encasement等の出現する部位により,(1)AG-V2:marginal veinまで上記所見のあるもの,(2)AG-V1:直静脈まで所見のあるもの,(3)AG-V0:静脈に所見のないものの3群に分類し,漿膜下静脈侵襲,癌周囲線維化及び肝転移について検討した.尚,静脈侵襲の判定にはH・E染色とエラスチカ・ワンギーソン染色を併用した.1)静脈所見と漿膜下静脈侵襲の比較では,AG-V2 91.7%,AG-V1 46.2%,AG-V0 16.7%と高率に相関した.2)静脈所見は腫瘍周囲の線維化の程度とも相関した.3)静脈所見と肝転移の比較では,AG-V2 50%,AG-V1 30.8%,AG-V0 0%と静脈所見の進行に従つて肝転移率も高くなつた.4)異時性肝転移,術後癌再発死例(肝転移を伴なう)を含めるとAG-V2 66.7%,AG-V1 46.2%,AG-V0 0%となり,AG-V2,V1例では手術時すでに微少肝転移のあつたことが予測された.

キーワード
結腸癌, 薬理学的血管造影, 静脈造影所見, 肝転移


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