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書誌情報]
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日外会誌. 88(10): 1457-1465, 1987
原著
肝門部癌における門脈再建部の狭窄及び閉塞の影響に関する実験的研究
I.内容要旨肝門部癌に対して,最近肝切除及び浸潤された門脈分岐部切除が行われるようになつたが,その門脈再建時における吻合部狭窄及び閉塞の発生時の病態を解明するために実験的研究を行つた.
雑種成犬34頭全例に53%肝切除を施行した.肝切除のみを非狭窄群(I),門脈本幹に金属リングを装着して70%狭窄を作製したものを狭窄群(II),門脈を急性閉塞したものを閉塞群(III)とする3群を作成した.III群は全例閉塞後平均122分で死亡した.I群とII群の術後4週目までの門脈循環動態及び残存肝の機能と形態について経時的変化を比較観察した.
I群は良好な門脈循環の回復と残存肝の再生をみた.II群は門脈造影所見で1週目より遠肝性側副血行を形成したが,門脈圧は1週目まで高値で,門脈本幹血流量は全経過中減少し回復を認めなかつた.また,1週目の肝組織血流量は著明に減少しており,4週目でI群に比べ残存肝内門脈枝の伸展は明らかに不良であつた.また,II群の肝重量再生率及びインドシアニン・グリーン最大除去率(ICGR max)はI群に比べ明らかな低下を認め,門脈狭窄により残存肝の形態及び機能的再生が抑制されていることが判明した.
本実験により,臨床においては肝門部癌の門脈切除再建における門脈吻合部閉塞は生命に直接的危険があることを示し,吻合部狭窄は術後門亢症や肝不全に陥る危険性があると考えられた.肝切除を伴う門脈再建では門脈吻合部の閉塞および狭窄を避ける吻合法を行うことが本手術の安全性を向上させると考えられた.
キーワード
門脈再建, 門脈狭窄, 肝再生, 門脈循環, 肝門部癌
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