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日外会誌. 88(3): 349-353, 1981


症例報告

術後10年を経過して興味ある再発形式を呈した大腸癌の1切除例

*) 自治医科大学 消化器一般外科
**) 自治医科大学 病理

住永 佳久 , 佐藤 知行 , 宮田 道夫 , 柏井 昭良 , 金澤 暁太郎*) , 三浦 弘資 , 渡辺 賢司**)

(昭和61年5月20日受付)

I.内容要旨
我々は術後10年目に,局所に巨大な腫瘤を形成する形で再発した大腸癌の1例を経験した.症例は59歳女性で,10年前に上行結腸癌(Dukes C)に対し根治手術を施行し経過観察中であつたが,この期間の血漿CEA値は正常範囲であつた.最近,右下腹部に腫瘤が出現し検査にて大腸癌再発が疑われ手術を施行した.腫瘤は前回手術による回結腸吻合部より約5cm肛門側の腸間膜対側に壁外性に発育し,大腰筋及び一部右側腹部壁側腹膜に浸潤した18×11×8cmの巨大な孤立性の腺癌であつた.初回手術時には充分な郭清が施行されており,今回手術時には肺,肝臓,骨などに転移巣はみられず,また他にリンパ節転移や腹膜播種も認められなかつたことより,本症例における局所再発は手術操作による遊離腫瘍細胞の着床によるものではないかと考えられた.

キーワード
大腸癌, 局所再発, 血漿 CEA 値


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