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日外会誌. 87(11): 1391-1397, 1986


原著

外傷早期における腎障害の臨床的研究
-β2-microglobulin および N-acetyl-β-D-glucosaminidase の検討を中心に-

大阪大学医学部附属病院 特殊救急部(救急医学教室)

横田 順一朗 , 阪本 敏久 , 上西 正明 , 渋谷 正徳 , 橋本 公昭 , 吉岡 敏治 , 杉本 侃

(昭和61年2月17日受付)

I.内容要旨
外傷患者の受傷早期における腎機能障害の程度とその部位を明らかにするため,腎機能の指標として来院後24時間の時間尿量,クレアチニンクリアランス(Ccr),自由水クリアランス(CH2O),fractional excretion of sodium(FENa)に,尿細管障害の指標として特異性の高い尿中β2-microgrobulin(β2M)および尿中N-acetyl-β-D-glucosaminidase(NAG)を加え検討した.障害程度を外傷の重症度別にみるため,対象79例をショック群36例,非ショック群43例に分かち,各指標を対比検討した.さらに各指標の一週間の経過から腎機能の予後を検討した.その結果,ショック例では適正尿量が得られていても,Ccr,CH2O,FENa,尿中β2MおよびNAGの異常が認められた.さらに非ショック例でも尿量Ccr,CH2O,FENaが正常でも尿中β2MまたはNAGに異常を認めた.この尿中熾MやNAGは予後の検討から,少なくとも1週間は異常値のまま推移した.これより外傷患者では,ショック例はもとより非ショック例でも,尿細管が早期より障害され,その改善も遷延しやすいことが示された.

キーワード
外傷, 腎機能障害, β2-microglobulin, N-acetyl-β-D-glucosaminidase


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