[書誌情報] [全文PDF] (5381KB) [会員限定・要二段階認証]

日外会誌. 87(11): 1380-1390, 1986


原著

輸血による免疫学的抑制誘導の機序に関する研究

岡山大学 医学部第1外科(主任:折田薫三教授)

二宮 基樹

(昭和61年1月30日受付)

I.内容要旨
輸血が移植腎の生着延長効果をもたらし,腫瘍増殖効果を招く可能性を示唆する報告が散見される.これらは,いづれも輸血が免疫抑制状態を誘導する可能性を示しているものと考えられる.このような輸血の生体に及ぼす免疫学的効果を検索する目的で,マウスを使つたin vivoとin vitroの動物実験を行なつた.
in vivoの実験では,ある種の同種輸血は同種移植腫瘍の生着増殖をもたらし,血液成分を検討すると白血球のみがこのような効果をもつていた.また,その効果発現因子は,輸血されたrecipientの血清内に存在する事が判明した.
またin vitroの実験では,輸血はrecipientのNK活性を著明に抑制したが,CTL活性には相関性は認められなかつた.
これらの実験的結果は,輸血がNK活性を主とした免疫抑制状態を惹起していることを証明した.

キーワード
輸血, 免疫学的寛容の誘導, 白血球成分輸血, NK活性, CTL活性


<< 前の論文へ次の論文へ >>

PDFを閲覧するためには Adobe Reader が必要です。