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日外会誌. 87(3): 341-349, 1986


原著

Dextran-Coated Charcoal を用いた乳癌患者血清中の Sex Hormone-Binding Globulin の測定

徳島大学 医学部第2外科(主任:門田康正教授)
*) 現,川崎医科大学 内分泌外科

住永 佳久 , 園尾 博司*) , 森本 忠興

(昭和60年6月8日受付)

I.内容要旨
血中のEstradiol(以下E2)やTestosterone(以下Te)などの性ステロイドホルモンと特異的に結合する血清蛋白Sex Hormone-Binding Globulin(以下SHBG)が,ヒト乳癌のホルモン依存性に関与している可能性が指摘されている.我々は乳癌とSHBGの関係をみるために,Dextran-Coated Charcoal(以下DCC)を用い,E2を利用した簡易測定法(competitive binding assay)により,乳癌患者および対照として健常婦人の,血清中のSHBGのE2に対するbinding capacity(以下SHBG-BC) を測定した.また乳癌組織中のエストロゲンレセプター(以下ER)の血中E2濃度を測定し,SHBG-BCとの関係をみた.
1.DCC前処理により血清中の内因性ステロイドを除去した場合,SHBG-BCは約18%の高値を示した.これより我々の測定法においては,DCC前処理は有意であると考えた.
2.SHBGは,60℃,60分間加熱にてその活性を失うが,pHの変化には比較的強く,pH 5からpH 9までは安定したbinding capacityを示した.
3.乳癌群および対照群の間には,SHBG-BCは有意差を認めなかつた.ただし,各群を閉経前後に分けた場合,閉経後においては,乳癌群は対照群に比べて,SHBG-BCは有意に高値を示した.
4.乳癌群をER(+)群とER(-)群に分けた場合,SHBG-BCはER(+)群の方がER(-) 群に比べて有意に高値を示したが,ER定量値および血中E2濃度との間には,相関関係は認められなかつた.

キーワード
乳癌, SHBG, DCC法(Dextran-Coated Charcoal), エストロゲンレセプター, ホルモン依存性


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