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書誌情報]
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日外会誌. 87(3): 315-323, 1986
原著
食道癌所属リンパ節の RI uptake からみた食道リンパ流
I.内容要旨領域リンパ節に対するLymphoscintigraphy後の所属リンパ節RI uptakeの検索は,リンパ流を反映しその追跡に有用であることが,実験的に確認できた.この実験結果より
99mTc Renium Colloidを用いた経内視鏡的Lymphoscintigraphyを食道癌42例,胃癌4例に行ない,術後摘出リンパ節のRI uptakeにより食道壁外リンパ流を検討し,つぎの結果を得た.
(1)胸部上部食道付近では頚部,上縦隔への上行性リンパ流が主体で,中部食道では上行性および腹部への下行性リンパ流が認められた.下部食道では上行性・下行性ともにリンパ流を認めるが,下行性リンバ流が優位であつた.腹部食道では下行性のリンパ流が主体であるが,気管分岐部リンパ節および左腎静脈周囲リンパ節へのリンパ流も豊富であつた.
(2)胸部気管傍リンパ節は気管左側,気管前面ともに胸部上部および中部食道よりの流れが豊富であつた.
(3)左右鎖骨上リンパ節には胸部食道よりの豊富なリンパ流を認め,左右いずれかが右上縦隔最上部リンパ節よりリンパ流が豊富な症例が61%と高率であつた.また右鎖骨上リンパ節が左鎖骨上リンパ節よりリンパ流が多いと思われる症例が48%であつた.
以上,胸部上部および中部食道より左右鎖骨上リンバ節(左右104)・胸部気管傍リンパ節(106一気管全周)へ向かうリンパ流,腹部食道からの気管分岐部リンパ節(107)・左腎静脈周囲リンパ節(16 左)へ向かうリンパ流は豊富であることが確認された.
キーワード
食道癌, 食道リンパ流, リンパ流検索法, Lymphoscintigraphy, 摘出リンパ節 RI uptake
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