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書誌情報]
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日外会誌. 86(4): 411-423, 1985
原著
Clonogenic assay によるヒト乳がんの内分泌療法および化学療法の感受性に関する研究
I.内容要旨近年乳がんのエストロゲン受容体(ER)が測定されるようになつてより,乳がん患者の内分泌療法の適応基準が比較的はつきりされるようになつてきた.しかしER陽性症例でもその有効率は5割程度であり,未だ充分なる指標とはいえない.より臨床効果と相関のある指標を求めて,Hamburger and Salmonらの方法に準じたclonogenic assayを用いて,ヒト乳がん細胞に対するestradiol,tamoxifenおよびadriamycinの感受性試験を行ない検討した.ヒト乳がん206例(原発巣145例・転移巣61例)を対象とした.1シャーレ当り5個以上のコロニーを形成したものは47.1%(98/206)で,このうち感受性試験に評価可能な1シャーレ当り20個以上のコロニーを形成したものは22.8%(47/206)であつた.tamoxifenに対する感受性試験では,60%以上の増殖抑制を感受性を示す基準とすると21.7%(5/23)が感受性を示し,ER(+)群では26.7%(4/15),ER(-)群では12.5%(1/8)が感受性を示した.estradiolに対して増殖傾向があるものほどtamoxifenに抑制される傾向があり,estradiolに対する反応性を考慮すればさらに的確な判定が行なえると考えられた.adriamycinに対する感受性試験では,50%以上の増殖抑制を感受性の基準とすると26.7%(4/15)に感受性を示した.ER(+)群よりER (一)群に高い感受性を示す傾向があつた.進行・再発乳がんに対してadriamycinおよびtamoxifenがそれぞれ単独で用いられた場合の臨床報告と比較すると,今回の実験結果はこれら臨床成績の結果と比較的よく一致していた.いわゆる化学療法剤のみでなくtamoxifenのようなホルモン剤に対してもclonogenic assayによる感受性試験は,臨床効果を予測する指標として有用であると思われた.
キーワード
感受性試験, clonogenic assay, tamoxifen, estrogen receptor, ヒト乳がん細胞
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