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書誌情報]
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日外会誌. 86(4): 400-403, 1985
原著
エンドトキシン血症における骨格筋および血中のアラニン代謝
I.内容要旨家兎のエンドトキシン血症において惹起される高アラニン血症の由来を代謝面より検討するために以下の実験をおこなつた.
24時間絶食家兎30羽を用いエンドトキシンE.coli 026,3.0mg/kg(LD
100)注入前後の大腿四頭筋内遊離アミノ酸濃度および遊離アミノ酸濃度動静脈較差を測定し,経過6時間を観察した.
1.エンドトキシン注入により血中遊離アミノ酸濃度は大きく変化した.
2.エンドトキシン注入後180分より各測定値に有意差をみたが,典型的エンドトキシンショックを示した360分後における結果を示すと,
(1)大腿動脈血遊離アミノ酸増加量は,アラニン366μmole/
l,グリシン162μmole/
l,プロリン85μmole/
lであつた.
(2)大腿四頭筋内遊離アミノ酸増加はアラニン1,376μ mole/g,グリシン156nmole/g,セリン109nmole/gであつた.
(3)大腿動静脈較差はアラニンー255nmole/
l,グリシンー188nmole/
l,プロリンー 77nmole/
lであつた.
3.エンドトキシン注入前後の大腿動静脈アラニン濃度は動脈血に比べ静脈血が高く,60分以降有意差が認められた.
以上より,エンドトキシン血症のアミノ酸代謝において骨格筋は重要な役割をはたすことが認められた.とくに血中アラニンの変化は骨格筋内の遊離アミノ酸と密接な関係にあることが示唆された.
キーワード
大腿動静脈較差, 大腿四頭筋内遊離アミノ酸濃度, アラニン, エンドトキシン, エンドトキシン血症
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