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日外会誌. 84(12): 1269-1278, 1983


原著

胃再建術後の内因性セクレチン分泌動態の検討
-特に食事負荷による-

大阪市立大学 医学部第一外科

西脇 英樹 , 北村 輝男 , 佐竹 克介 , 梅山 馨

(昭和58年2月17日受付)

I.内容要旨
臨床的に胃切除後,Billroth-I,Billroth-IIおよびRoux-Y再建群を対象として,空腹時および試験食負荷後の血漿セクレチン反応,さらに腸管内pHの変動を検討した.空腹時血漿セクレチン値は上記3群間に有意差は認められないが,食事負荷後の反応では3群ともにコントロール群に比べ低分泌反応を示し,特に, Roux-Y群では明らかなセクレチン分泌反応は認められなかつた.また,Billroth-I 群では,Billroth-II群に比べ食後のピーク血漿セクレチン値も高値を示す傾向にあつた.
また,腸管内pHの変動では,コントロール群では食後120分まで十二指腸内pH値4.0~5.0の低下が認められたが,Roux-Y群では空腹時に比べ食後空腸内pH値は著しい変動を示さなかつた.また,Billroth-I群十二指腸内pH値およびBillroth-II群空腸内pH値はともに食後低下を示したが,コントロール群に比べて,食後比較的早期に負荷前pH値にもどる傾向が認められた.
以上より, Roux-Y再建後では胃全剔術により酸分泌が欠除するとともに食後の血漿セクレチン分泌反応は著しく低下すると思われた.
また,Billroth-IおよびBillroth-II再建群の腸管内pH値では著明な差異はみられないが,Billroth-II群に比べ, Billroth-I群では食後の血漿セクレチン分泌はよく反応し,食事の十二指腸通過の有無もセクレチン分泌に重要な要因と考えられた.

キーワード
血漿セクレチン値, 胃切除, 腸管内pH


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