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書誌情報]
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日外会誌. 84(6): 500-507, 1983
原著
乳管内増殖性病変の3次元構造
-特に乳頭腫の発生部位と進展様式について-
I.内容要旨乳腺乳管内腫瘍の外科治療の解剖学的な基礎資料を得るため,乳管内乳頭腫10例を対象にmicrodochectomyによる手術材料を連続切片から3次元復構し,乳頭腫の発生部位および進展様式などについて解析した.
その結果,乳頭腫10例のうち7例で3次元的に独立した複数の乳頭腫結節を認め「多発性」を証明した.孤立性乳頭腫3例は乳輪下のsegmental duct, subsegmental ductにのみ存在しterminal duct lobular unit(以下TDLU)を包含しなかつた.一方,多発性乳頭腫は7例中6例がsubsegmental duct からTDLUに,他の1例がsegmental ductからTDLUにかけて分布し,例外なくTDLUを包含していた.しかも多発性ではTDLUに局在する乳頭腫も全例で見出された.これにより乳輪下の孤立性乳頭腫がsubsegmental duct以上の中心乳管から発生すること,一方,多発性乳頭腫はTDLU,すなわち終末乳管から発生することが明らかになつた.
孤立性乳頭腫はsubsegmental ductあるいはsegmental ductからさらにcollecting ductへ進展するが,多発性乳頭腫はTDLUからsubsegmental duct以上の中心乳管へ向かつて種々の程度に進展していた.しかし,乳管系は腫瘍により破壊されることはなく,既存の樹枝状分岐構造をよく維持していた.
いわゆる乳頭腫症のなかには3次元的に多発性乳頭腫と連続するものがしばしば確認されることから,前乳頭腫性性格を有するものと考えられた.
さらに,乳頭腫にともなう嚢胞形成は病変により流出路を機械的に閉塞されて生じる“retension cyst”であることが示された.
キーワード
多発性乳頭腫, 孤立性乳頭腫, 乳頭腫症, 乳腺の3次元構造, Microdochectomy
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