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日外会誌. 84(3): 203-210, 1983


原著

手術侵襲のNK活性に及ぼす影響

岡山大学 医学部第一外科

田中 紀章 , 吉原 久司 , 小野 稔 , 森谷 行利 , 寺沢 明夫 , 米花 孝文 , 万波 徹也 , 小長 英二 , 三村 久 , 折田 薫三

(昭和57年8月5日受付)

I.内容要旨
NK細胞の活性に及ぼす麻酔および手術侵襲の影響を検討した. マウスに手術侵襲を加えると術後1日目から5日目にかけて脾細胞のNK活性の減弱がみられた. Lewis肺癌細胞に対するNK活性は抗Thy 1抗体と補体で処理すると正常マウスでは著しい減弱がみられたが,開腹手術を受けたマウスでは影響がみられず,手術侵襲によつてNK細胞の構成にも変化がみられた.
肺癌,胃癌を中心とする臨床例において末梢血リンパ球のNK活性を検討した.NK活性は早くも術中より抑制がみられ,術後1日目から3日目にかけて最も顕著となった.開腹術後の場合7日目から14日目にかけてNK活性は術前の水準に回復したが,開胸手術後の場合NK活性の抑制はより長期間続いた.

キーワード
NK活性, 手術侵襲, 癌


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