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日外会誌. 84(2): 135-140, 1983


原著

Dubin-Johnson症候群を伴う転移性肝癌に対する大量肝切除の経験

1) 浜松医科大学 第二外科
2) 浜松医科大学 第二病理

中村 達1) , 森岡 暁1) , 馬場 正三1) , 前多 松喜2) , 室 博之2)

(昭和57年7月14日受付)

I.内容要旨
最近我々はDubin-Johnson症候群を伴った結腸癌の1例に対して結腸全切除を行い,約10カ月後その再発に対して膀眺全切除術, 回腸導管造設,肝切除術など計3回の手術を行い,興味ある知見を得たので報告する.
すなわち,① Dubin-Johnson症候群に対する腹部手術後,ビリルビンとGOTの変勤により侵襲の差が窺われるが,大きな手術侵襲に十分耐えうる.② Dubin-Johnson症候群の肝切除後肝再生は一般肝切除術後と同様であり.機能的にも形態学的にも問題はなかった.③術後, 2カ月目の生検肝組織では肝再生に伴い肝細胞内色素顆粒が著明に減少した.
Dubin-Johnson症候群に対する肝切除の報告は本邦では1例のみでその例では肝硬変を合併していたため,術後肝再生及び色素顆粒の変動についての結果は本症例とは一部異なっている.本症例の結果からDubin-Johnson症候群は大きな手術侵襲及び大量肝切除術の不適応因子とはならないと結論できる.

キーワード
Dubin-Johnson症候群, 肝切除, 肝再生


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