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日外会誌. 84(2): 141-150, 1983


原著

膵液胆道内逆流の実験的研究
-特に肝胆道系に及ぼす効果について-

三重大学 第1外科教室(主任:水本龍二教授)

小倉 嘉文

(昭和57年7月20日受付)

I.内容要旨
膵液胆道内逆流の肝胆道系に及ぼす影響を検索するとともに,その病態生理における膵酵素の意義を明らかにする目的で本研究を行った.すなわち,雑種成犬(35頭) および幼犬(5頭)を用い,十二指腸乳頭またはこれを含む十二指腸を遊離して胆嚢と吻合し, 膵液を胆道内へ持続的に流入せしめて,以下のごとき成績を得た.
膵液の胆道内逆流は胆管の拡張をきたし,胆管粘膜の剝脱や変性,粘膜下の炎症性変化および弾性線維の断裂や消失を招いた. また肝では門脈域の軽度の線維化や細胞浸潤をきたした.
特に,十二指腸内で活性化された膵酵素が胆道内に逆流するとこれらの変化が著明であった.
なお,膵酵素としてはphospholipase A2の重要性が指摘されているが, phospholipase A2は胆汁と混和するだけで活性化され,十二指腸内に流入すると, さらに活性が著明となることが明らかにされた.

キーワード
膵液胆道内逆流, 肝胆道系, 膵酵素, phospholipase A2


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