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日外会誌. 83(10): 1228-1232, 1982


原著

総大腿動脈移植人工血管の感染に対する経閉鎖孔的extra-anatomical bypassの経験

東京医科大学 外科

石丸 新 , 深谷 泰弘 , 平山 哲三 , 小西 正樹 , 古川 欽一 , 高橋 雅俊

(昭和57年4月16日受付)

I.内容要旨
閉鎖孔を利用した血行再建法はその目的の特殊性から応用頻度が少く,手術成績については充分に検討されていない.
65歳,男性,左総大腿動脈瘤に対して腹膜外到達法にて人工血管移植を行つたが,術後1年8カ月を経過して鼡径部に感染をきたし, これが敗血症へ移行する危険が予測された.そこで感染部位より充分離れて新たな血行再建を行うべく,開腹して閉鎖孔を貫通する経路にて外腸骨ー大腿動脈bypassを作成し,感染人工血管を抜去することにより治癒せしめた.術後6カ月の現在graftは良好に開存しており,運動障害も認められない.
本法は大腿動脈領域の血行再建手術として直接再建術の短所を補い得る術式であると考えられる.

キーワード
閉鎖孔, 人工血管感染, extra-anatomical bypass


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