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書誌情報]
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日外会誌. 83(10): 1209-1217, 1982
原著
食道進展胃上部癌の臨床病理学的研究
I.内容要旨胃上部癌,特に食道進展症例は予後が悪く,外科手術上食道口側切離線,開胸操作,胸腔内リンパ節郭清等の問題を含んでいる.著者らは食道進展症例の特性を明らかにし,手術成績向上をはかるため,胃上部癌を組織学的に食道浸潤を示したCE癌と,胃に限局したC癌に分類して臨床病理組織学的に両癌の差異を比較検討した.
切除胃上部癌198例のうちCE癌は125例(63.1%),C癌は73例(36.9%)であり,肉眼的にC癌と判定した症例のうち10%が組織学的にCE癌であつた.
CE癌の切除率,治癒切除率,直死率はそれぞれ85.6%,50.7%,0.7%,C癌は84.9%,58.1%,1.2%で,両癌に有意の差は認められなかつたが,予後(5年累積生存率)は,CE癌の治癒切除例で34.2%,切除全例では21.8%と,C癌の74.2%,55.9%に比べて有意に不良であつた.
CE癌はC癌と比べて,小弯を中心とする症例と全周を占める症例が多く(X
2(3)= 11.77 p<0.01),癌径の大きな症例が明らかに多く(X
2(2) =12.18 p<0.005),肉眼的分類,割面分類では早期癌,早期癌類似進行癌,表在癌が著明に少なく(X
2(2)= 29.44 p<0.0001),組織分類ではpap,tub
1,tub
2の占める割合が多い傾向(X
2(2) =4.70 p<0.1)がみられ,浸潤増殖様式ではINFα,βの占める割合が多い傾向(X
2(2) =5.31 p<0.1) がみられた.組織学的深達度もss以上の症例が多く(X
2(3)= 32.56 p<0.0001),脈管浸襲も腸性率が高く,程度も高度な症例が多く(X
2(3)= 13.04 p<0.005),組織学的リンパ節転移率および程度も高度であり(X
2(3)= 13.69 p<0.005),stageの進んだ症例が多い傾向(X
2(3)=7.15 p<0.1)が認められた.また,癌径の割に深達度が高い領向(p<0.1)が認められた.
CE癌の予後がC癌より不良である原因として以上の諸因子が関与していると考えられた.
キーワード
胃上部癌, 食道浸潤, 胃上部癌の予後, 予後決定因子, 5年生存率
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