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日外会誌. 83(1): 16-26, 1982


原著

LMIおよびLAItestによる癌患者の特異的免疫能に関する観察

*) 弘前大学 第1外科
**) 弘前市立病院 外科

山内 誠*) , 佐藤 守三*) , 石岡 隆*) , 高嶋 一敏*) , 福島 松郎*) , 鯉江 久昭*) , 町田 清朗**)

(昭和56年8月27日受付)

I.内容要旨
新鮮癌組織あるいは株化人癌培養細胞から得た3M KCI extract(以下Extractと呼称)を抗原とし,agarose microdrople LMI testおよびmicroplate LAI testにより各種癌患者の細胞性免疫反応を検索した.
初期胃癌患者(stage I,II)はその陽性率がLMI testで60%,LAI testで80%と高い反応性を示したが,進行癌患者および非再発1年以上経過例では低反応性であった.各種癌患者は他臓器癌関連抗原に対してLMI交叉反応性を示さず,LMI反応が高い臓器特異性を有していることが認められた.自家抗原と同種抗原との抗原の比較をLMI反応で検討したところ,両抗原に対する反応性の差異はなかった.
LMI,LAI両反応の陽性陰性別テスト成績は約80%で一致し,さらに遊走指数と粘着指数間にも有意の相関性を認めた.
これらの結果は,癌患者が癌関連抗原に感作されている可能性が高いこと,またLMI,LAI testがこの腫瘍特異的免疫反応の検知にすぐれた方法であり癌とくに初期癌の免疫学的診断法として検討してみる価値があることを示唆している.

キーワード
腫瘍関連抗原, 白血球粘着阻止試験, 白血球遊走阻止試験


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