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日外会誌. 81(7): 654-665, 1980


原著

胆管結石の外科治療
-遠隔成績からみた手術々式の検討-

東北大学 第1外科

仲里 尚実 , 鈴木 範美 , 高橋 渉 , 佐藤 寿雄

(昭和54年9月15日受付)

I.内容要旨
著者らは,胆管内にT字管が挿入された胆管結石症および胆嚢結石症例で,術後1年以上経過した308例を対象に遠隔調査を実施した.調査対象308例のアンケート回答数は238例,うち100例は来院精査を行つた.遠隔時の成績は,良好180例 (75.6%),やや良好34例 (14.2%),不良9例 (3.9%) であつた.不良9例は,遺残結石7例,再発結石2例であり,遺残結石の1例を除き8例はすでに教室で再手術を施行していた.来院精査の100例の検査成績は,退院時より貧血,肝機能は著明に改善されていた.胆管造影像では,遠隔時の胆管径は術前の胆管径に比して,結石の種類に関係なく推計学的に有意に縮小していた.しかも, 胆管の高度拡張例ほど縮小が著明であった.
以上の成績より,胆管結石症の外科治療としては,乳頭部狭窄が存在する場合や,胆砂胆泥の遺残などが疑われる場合を除き,結石の種類にかかわらず胆管截石術とT字管ドレナージのみで十分治療効果があるものと考えられた.

キーワード
胆管結石症, 遺残結石, 乳頭形成術, T字管ドレナージ, 総胆管截石術


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