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書誌情報]
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日外会誌. 81(4): 306-316, 1980
原著
Stathmokinetic techniqueによるヒト胃癌の細胞分裂能に関する研究
I.内容要旨Vincristine sulfate (VCR) によるstathmokinetic technique を利用して, ヒト胃癌53例の癌巣と癌巣周囲の化生粘膜における細胞分裂能を分析すると同時に,種々の癌の状態と癌細胞分裂能との相関の有無を検討し,次の通りの結論を得た.
l) 化生粘膜では, 全分裂細胞の96.4%は粘膜深部1/2の部分に存在しており,この部分が化生粘膜の増殖帯と考えられた.
2) VCR投与16時問後の化生粘膜および癌巣の分裂指数(MI) の平均値はそれぞれ97.3,84.1,平均細胞産生率は4.6cells/1,000cells/hr,3.9cells/1,000cancer cells/hrであり,化生粘膜の増殖帯は癌巣よりも細胞分裂能は高いと判断された.
3) 胃癌細胞の分裂能は一定でなく,種々の状態で変化を示した. 一般に,癌巣の成長に伴つて分裂能は高値を示したが,癌巣の状態とMIとの間には次の通りの関係が認められた.(i)平均直径(ycm)とMI(x) との間には, y=4.2x+60.3(r=0.527, p<0.005) の関係があつた.(ii) MI は0,5,1~4型の順序で高値を示したが, 1~ 4型の間には有意差は認められなかつた. (iii)壁深達度が進むにしたがつて, MIは増加する傾向が認められた. 早期癌と進行癌のMI平均値はそれぞれ60.2,95.6であり,後者は前者より高値を示した(p<0. 005). (iv)低分化腺癌のMI平均値は91.0であり,分化型腺癌の78.1より, 明らかに高い値を示した(p<0.005). (v) stage I • IlのMI平均値は67.6であり, stage III • IVは96.2と前者より高値を示した(p<0.005)が, stage IとIIおよびstage IIIとIVとの間には明らかな差は認められなかつた. (vi) 原発巣のMI平均値は95.0,転移巣では120.7を示し,後者は前者よりも細胞分裂能は高いと考えられた.
4) 癌巣の占居部位,線維性間質反応程度, INF,担癌患者の年齢および性差とMI との間には有意差は認められず, これらの因子と癌細胞分裂能との間には相関がないと考えられた.
キーワード
ヒト胃癌, 細細胞分裂能, 腸上皮化生, Stathmokinetic technique, Vincristine sulfate.
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