日外会誌. 124(5): 446, 2023
手術のtips and pitfalls
「主膵管損傷を伴う膵外傷に対する手術」によせて
東京女子医科大学附属八千代医療センター 救急科 相星 淳一 |
膵外傷は比較的稀ですが,高い死亡率(17~46%)を示す外傷で,不適切な治療方針や術式選択は入院期間の延長や生命予後に影響を与える可能性があります.しかしながら,膵損傷の特徴から,エビデンスレベルの高い臨床研究に基づいたガイドラインはございません.
主膵管損傷を伴わない膵損傷に対してはおもに非手術的治療が選択され,高い成功率が報告されております.一方,主膵管損傷を伴う損傷の場合,膵頭部の広範な挫滅損傷が伴う症例では膵頭十二指腸切除術が選択され,膵体部の損傷では,膵体尾部切除術を基本として,積極的に脾温存を試みる術式も選択されております.
今回の企画では,主膵管損傷を伴う膵外傷に対する手術,「膵頭部損傷に対する膵頭十二指腸切除術」と「膵体部損傷に対する脾温存膵体尾部切除術」のtips and pitfallsについて,それぞれの術式に経験豊富な香川大学医学部消化器外科学の岡野圭一教授,松戸市立総合医療センター救命救急センターの村田希吉センター長に解説をお願いいたしました.
外科的治療を要する膵外傷症例は非常に限定的であることから,両執筆者からのメッセージが,外傷診療に携わる会員の皆様の一助となれば幸甚に存じます.
利益相反:なし
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