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日外会誌. 123(4): 303, 2022

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特集

医療訴訟のここがポイント―外科医にとって今必要な知識―

1.特集によせて

順天堂大学大学院医学研究科 病院管理学

小林 弘幸



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先頃,最高裁から発表された,令和2年度の医療訴訟に関する統計(速報値)によれば,訴訟の新受件数はコロナ禍に突入する前の平成30年(773件),令和元年(828件)に比べ若干増加した(834件).示談等の件数を含めれば,医事紛争の発生件数は数え切れない状況にあるのが現実である.訴訟件数では外科系がトップを占めている現状もあり,最近では一般治療の過程の中で起きた刑事事件に巻き込まれている外科医も存在する.今特集のポイントの一つであるインフォームドコンセント(IC)は,医師患者間の基本であるものの,完璧なICとはどういうものか,いまだ提示はなされておらず,また今後高度先進医療も加速する中,外科医がいかに自分の身を守るかということも重要な事項になってくる.
医療事故調査制度の施行(平成27年10月)から約7年が経過し,外科関連の報告数はこれもトップを占めるが,医事紛争との関係はどうだろうか.本制度の開始当初は医事紛争件数の増加を懸念する声もあったため,今回取り上げさせて頂いた.また,中央大学法務研究科教授・村田 渉先生からは,元東京高等裁判所筆頭裁判官として東京地裁では医療集中部の中心でカンファレンス鑑定を設立し,数多くの外科関連訴訟に関与してこられた経験から,外科医に有益な情報をご教授頂くこととした.
今回初めての試みとなったが,外科系訴訟関連をメインに,国内でもその分野のエキスパートといわれる先生方にご教授頂き,「明日はわが身」という厳しい環境の中で,会員の先生方が安心して外科手術を行えるための重要なポイントが得られることを,今特集の目的としている.
患者にとって最高の外科治療を,安全に提供して頂くための参考として頂ければ幸甚である.

 
利益相反:なし

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